旧式生産ラインの置き換えに不可欠な、新たなPV技術ロードマップと購買サイクル

2013年以降の技術革新への重点取り組みがPV製造装置サプライチェーンに新たな売上機会を創出

2012 716日発表(米国カリフォルニア州サンタクララ)2013年、PV業界に新たな技術ロードマップが生まれようとしている。これによって隣接技術分野との調和が進み、より広範な業界からのサポートが期待できるようになると見られる。新たなPV技術ロードマップの創出は、中国や台湾の結晶シリコン系メーカー大手が総力を挙げて展開する、新技術購買サイクルの方向性を示す指針となる。

大手PVメーカーはこれまで、それぞれが異なる技術ロードマップを推進してきた。そのためシナジー効果が生まれず、セル変換効率が20%レベルに到達しない要因の一つとなっていた。2011年、大手メーカー生産セルのうち効率が18%以上に達していたのはわずか15%にすぎなかった。しかし、新たなPV技術ロードマップを協力して推進することで、2015年末までには結晶シリコン系メーカー大手の生産能力の75%相当が高効率カテゴリに分類されることになりそうだ。NPD Solarbuzzの最新刊PV Equipment Quarterlyが明らかにしている。

NPD SolarbuzzアナリストのRay Lianは「PV業界は従来、結晶シリコン系や薄膜系の異なる技術タイプに渡る、幅広い生産技術を推進してきた。そのため、どのメーカーが生き残って事業を継続していけるか先行きが見えづらく、それがPV装置メーカーにとっての大きな課題となって立ちはだかってきた。しかし、現在進んでいる生産技術の淘汰により、競争力の劣る技術がふるいにかけられ業界から消えていこうとしている」と述べる。

この技術淘汰により、2011年には400社を超えていたセルメーカーや薄膜メーカーの数が、2016年までに100社以下に絞り込まれることになり、うち上位20社がモジュール向けセル生産の60%以上を占める構造となる見通しだ。薄膜分野で100MW以上の生産量を持つメーカー数は、2016年にはわずか13社となると見られている。

バリューチェーンで進む技術淘汰により、既存のPV装置メーカー大手に新興装置メーカーが挑戦する構図が生まれ、装置メーカーランキングの再編も進むと見られている。

破綻した企業の統合や買収の価値が限られているPV製造分野とは違って、既存のPVサプライチェーンに装置メーカーが新規参入するとより大きな戦略的利益を上げられる可能性がある。完了間近となっている東京エレクトロンによるOerlikon Solar買収のような契約は今後さらに頻繁になり、次のPV技術投資サイクル好転に向けた新たな装置メーカーの準備が進むことになりそうだ。

まずはコスト削減、次に技術革新

PV製造装置サプライチェーンでは2010年~2011年の過剰投資による強力な生産能力を最大限に利用する姿勢を続けているため、新規発注は過去5年間で最低のレベルにとどまっている。新規投資に対する弱気の姿勢は2012年から2013年前半にかけて継続し、台湾で結晶シリコン系セルラインが、日本で結晶シリコン系モジュールラインが多少追加される程度と見られている。

Ray Lianは「2012年のPV設備投資はメンテナンスレベルにとどまる見通しで、企業利益を確保するためのコスト削減が業界の短期的な重点項目になる。しかし2013年中頃までにはシリコン・非シリコンともコストが過去最低水準に下がる見通しで、この段階に来れば、結晶シリコン系メーカー大手は新たなPV技術ロードマップの形成に総力を結集できるようになるだろう」と述べている。

図1: 結晶シリコン系セルプラズマCVD装置メーカーの市場シェア(金額ベース)

c-Si Cell PECVD Equipment Suppliers

出典: NPD Solarbuzz PV Equipment Quarterly

低レベルな装置市場発生の脅威を取り除くには処分が必須

結晶シリコン系メーカー大手は新技術の推進に意欲的で、準大手以下のメーカーで休眠状態になっている生産能力の整理により、平均変換効率の向上を目指している。これを推し進めることで、陳腐化している競争力のない生産ラインが大幅に処分され、PV業界のサプライチェーンバランスに及ぼす悪影響が軽減される。

また、低レベルな装置市場が生まれるのを避けるために、PV装置メーカーは2010年~2011年の過剰投資時期に購入され設置されていない、複数GW規模の装置の処分を速やかに進めなくてはならない。装置メーカーがこの目標を2013年中に達成するために、新たなPV技術ロードマップが大いに役立つことになるだろう。

PVサプライチェーンに新たな装置メーカーが参入すると見られるため、特定の装置分野では競争の激化が予想される。これまで、結晶シリコンセル製膜装置が最も平均価格が高く、そのため結晶シリコン系PV装置メーカーにとって市場規模の最も大きな分野であった。現在CentrothermとRoth & Rau(現Meyer Burger)がリードしている結晶シリコン系セルプラズマCVD装置市場の規模は2011年、8億8000万ドルに達している。PV薄膜系製膜装置が近い将来には魅力的な分野になりそうもないため、装置メーカーの多くは2014年以降も結晶シリコン系製膜装置の売上げを争うことになりそうだ。

Ray Lianは「PV設備投資の新サイクルのスタートは、単に装置タイプが変わるだけでなく、装置メーカー間の市場シェアが変化することにもつながる。まず大事なのは、結晶シリコン系メーカー大手が今後数年で推進するPV技術ロードマップのタイミングと内容をきちんと理解することだ」と結んでいる。

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