PV産業の需給バランスは2012年後半に回復

PV価格下落継続のなか、年末の需要急増を前に求められる積極的コスト削減

2012 625表(米カリフォルニア州サンタクララPV産業には需給状況を示す指標(モジュール生産、供給量、市場需要)があるが、2012年下半期にはそれらの数値が17.2GWの需要見込みに対して8%の範囲内に収まる見通しであることがNPD Solarbuzzの最新刊Solarbuzz Quarterlyで明らかになった。これまで2年にわたり、川上と川下の両分野で生産能力過剰や供給過剰、在庫積み増しなど、大荒れが続いてきたPVバリューチェーンがようやく回復に向かう。

NPD SolarbuzzアナリストのMichael Barkerは、「PV業界はこれまで一年半以上にわたり、きわめて不均衡な需給状態がもたらす深刻な価格崩壊と利益率の低下に苦しんできた。しかし、2012年下半期の旺盛な市場需要に対する自信、また慎重な稼働率調整などから、2013年の戦略立案を前にしたこの時期、PV業界の先行きは明るさを増している」と述べている。

2012年の世界PV需要は30GW超(前年比8%増)となる見通しだが、その原動力は第4四半期に見込まれるアジア太平洋地域の新興市場、とりわけ中国の強力な需要である。中国市場では2012年下半期の需要が5GW超と見られているが、この国内市場の活況は中国結晶シリコン系メーカーにとって、アンチダンピングに関する米国商務省の裁定や今後欧州でも起こりうる同様の訴訟の影響を補って余りある、心強い救いとなりそうだ。

事実、中国モジュールメーカーの大半は今年の需要を30GWを30%も上回るようなレベルと見て計画を立てている。こうした楽観姿勢の底には、過去のPV業界が経験してきた年末の需要急増、新たなPV需要を生む新興国市場の増加、(従来の)官主導の奨励制度に頼らず利益を実現する新たな地上設置型プロジェクトの可能性などがある。

年末の需要急騰を見越した川下のインテグレーターが第3四半期に在庫を積み増そうとする動きから、モジュール出荷量も増加すると見られる。生産能力拡張は2012年下半期はおおむね保留となる見通しだが、米国商務省の仮裁定により最高レベルの稼働率で操業している大手台湾セルメーカーはその例外である。

図1: PVの需給指標(モジュール生産、供給量、市場需要)

出典: Q2’12版NPD Solarbuzz Quarterly

生産コストを上回るスピードで下落する価格

2011年にはポリシリコンコストを下げることがコスト削減のおもな手段だったが、2012年下半期にはポリシリコン平均価格の下落が10%以下にとどまると見られている。そのため、結晶シリコン系メーカーは下がり続けるモジュール平均価格に対抗する唯一の手段として、シリコン以外の部分のコスト削減を優先せざるをえなくなるだろう。2012年にはシリコンとシリコン以外のプロセス両方を合わせたコストが20~35%下がると予測されているが、シリコン以外の部分のコスト下落は最大で50%になると考えられる。

2012年第1四半期、シリコンとシリコン以外を含むプロセス全体のコストの中で最大部分を占めたのは、意外なことにモジュールプロセスのコストだった。今後はモジュールプロセスコストが大幅に下がっていくと見られるが、製造チェーンのなかでは最も技術障壁の低い分野であることを考えると、それも不思議ではない。大手中国結晶シリコン系メーカーは2012年にモジュールコストを40%以上下げる見通しで、2013年にはさらにコスト削減が進む可能性もある。

コスト削減に向けたこれら努力にもかかわらず、2012年には結晶シリコンモジュールの平均価格がコスト削減を上回るペース(25~45%)で下がると見られている。需給バランスの回復がより安定した産業環境をもたらすと見られる一方で、メーカー各社にとっては依然、コスト削減が2013年に向けて最も重要な課題であることに変わりはない。

 

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